ここは、ホートウィッシュにある僕の家なんだ。
僕の名前は、まだない。いや、正確に言えばあるんだけど
誰１人僕の名前は呼んでくれない。
少年とか、落ちこぼれとか、そんな呼び方ばっかりだ。
僕の名前は、まだない。いや、正確に言えばあるんだけど
誰１人僕の名前は呼んでくれない。
少年とか、落ちこぼれとか、そんな呼び方ばっかりだ。
♪〜
あ、着信音だ、誰からだろう？
「マスター、おはようございます」
「おはようまどか、どうしたの？」
「忘れたんですかマスター。今日は私がモーニングコールの担当ですよ」
「ああ、そういえばそうだった。でも、もう起きてるよ」
「はい。起きておられて安心しました。
それから、あしたは卯月ですから、忘れないようにしてくださいね」
「・・・・わかったよ」
「では、また」
「うん、またね」
「おはようまどか、どうしたの？」
「忘れたんですかマスター。今日は私がモーニングコールの担当ですよ」
「ああ、そういえばそうだった。でも、もう起きてるよ」
「はい。起きておられて安心しました。
それから、あしたは卯月ですから、忘れないようにしてくださいね」
「・・・・わかったよ」
「では、また」
「うん、またね」
今電話を掛けてきたのが、僕が呼び出せる数少ない召喚獣のひとり、まどかだ。
召喚獣といっても、知的召喚獣の女の子。他に、卯月、マキ、晶、結の４人が
僕と契約している召喚獣としている。
逆に言うと、まどかを含めて５人しか呼び出せないんだけど。
召喚獣といっても、知的召喚獣の女の子。他に、卯月、マキ、晶、結の４人が
僕と契約している召喚獣としている。
逆に言うと、まどかを含めて５人しか呼び出せないんだけど。
最近、僕らはモーニングコールを始めた。
せっかくケータイデンワがあるんだから、お互いに電話を掛け合って
遅刻しないようにしよう、っていうんだ。
まどか達は、友達になってから毎朝やってるんだって。
それに僕も加わったってわけ。
せっかくケータイデンワがあるんだから、お互いに電話を掛け合って
遅刻しないようにしよう、っていうんだ。
まどか達は、友達になってから毎朝やってるんだって。
それに僕も加わったってわけ。
♪〜
あれ、また掛かってきた、何があるんだろう？
「マスター、言い忘れました」
「なにまどか？」
「今回はマスターの出番、これで終わりだそうです」
「え？なんで、僕が主人公のはずなのに」
「何か、今からマスターの知らない裏話をやるんだそうですよ」
「えー、そんなのないよぉ」
「そういうことは、やたらに設定増やした人に言ってくださいね。
では、マスター、遅刻しないように出かけてください」
「あ、そうだ。遅れたらビルギエッタ先生に怒られちゃう。
うん、じゃあ、またね」
「なにまどか？」
「今回はマスターの出番、これで終わりだそうです」
「え？なんで、僕が主人公のはずなのに」
「何か、今からマスターの知らない裏話をやるんだそうですよ」
「えー、そんなのないよぉ」
「そういうことは、やたらに設定増やした人に言ってくださいね。
では、マスター、遅刻しないように出かけてください」
「あ、そうだ。遅れたらビルギエッタ先生に怒られちゃう。
うん、じゃあ、またね」
とまあ、そういうわけで、ここは、覇権戦争を戦う魔族軍の前線司令部。
アレクサンドラ（以下アレク）：来たのね、エイミィ
エイミィ（以下エイミィ）：うん、来たよ。
アレク： 長はなんて？
エイミィ：アレク、自重しろって。
アレク：自重？何を自重するのかしら。
エイミィ：損害が多いって。
アレク：それ以上の損害を敵に与えている。戦果で正当化できる範囲だ。
エイミィ：長（おさ）、言ってたよ。
アレク：何と言っていたというのだ。
エイミィ：えっとね。非戦闘員を殺しても仕方ないって。
アレク：馬鹿なことを。人などすべて敵。敵は皆殺し。それが戦争だ。
エイミィ：長、ご機嫌斜めだよ。
アレク：どういうことだ？
エイミィ：だからね。アレックの言う戦果って、非戦闘員まで足してるでしょ。
アレク：水増しではない。この戦争は、魔族か、人か、どちらかが絶滅するまで終わらない。
エイミィ：族長会議だって、アレックみたいな極端な意見、少数派だよ。
アレク：だが、私が正しい。
エイミィ：でもでも、長の部下なんだから、長の言うことを聞こうよ。
アレク：そうだな。それで、どうかしたの？
エイミィ：それでさ、アレック、損害には、蜥蜴兵、足してないでしょ。
アレク：なぜ足す必要がある。所詮使い捨ての道具だ。
エイミィ：だから、それが水増しだって。
アレク：…わかった。こんどから、長への報告は、蜥蜴兵もべつに報告しよう。
エイミィ：アレック、本当にわかってる？
アレク：わかったと言ったはずだ。それから、エイミィ。
エイミィ：なに、アレック？
アレク：アレック、という言い方は止めろ。何回言ったらわかるんだ。
エイミィ： アレック、アレックは、アレックじゃない。どうしてアレックって言っちゃいけないの。
アレク：私はアレクサンドラだ。アレックではない。
エイミィ：アレクサンドラだから、縮めたらアレックだよ。
アレク：アレックスか、アレクではいけないのか。
エイミィ：アレックスやアレクじゃ可愛くないよ。
アレク：…好きにしろ。
エイミィ：ありがとアレック。
アレク：だが、聞き捨てならないな。
エイミィ：何が？
アレク：損害が多い、とはどういう意味だ。
エイミィ：損害が多いってことだよアレック。
アレク：戦果は十分に上げているはずだ。
エイミィ：ホートウィッシュ、落ちてないよアレック。
アレク：…確かに、あれは人どもの守りの要。あそこを落とせば、この戦争は勝ったも同然。
エイミィ：どうやってホートウィッシュを落とすの？考えてるアレック。
アレク：遊撃戦で王国軍を消耗させる。いずれホートウィッシュを守る兵もいなくなる。
エイミィ：アレック。本当にそうなるって思ってる？
アレク：蜥蜴兵は城攻めに向かない。それに、あれを本気で落とすなら、全力がいるな。
エイミィ：アレック、よくわかってるね。なでなでしてあげる。
アレク：頭を触るな！
エイミィ：アレック、怒っちゃやだ。
アレク：怒るわっ！
エイミィ：アレック、長、ご機嫌斜めだよ。
アレク：それはもう聞いた。私にどうしろというのだ。
エイミィ：蜥蜴兵も無限じゃないし、魔族はただでさえ数が少ないんだよ。
アレク：蜥蜴兵は使い捨てだ。戦争で魔族が死ぬのも、仕方がない。
エイミィ：長、言ってたよ。この調子だと負けちゃうって。
アレク：負ける？馬鹿な！これほどまでに優勢に戦っていて、なぜ負ける。
エイミィ：エイミィ、わかんない。だけど、長、負けるって。
アレク：…わかったわかった。損害を減らせばいいのだろう。
エイミィ：うん、アレック、わかってくれたんだね。
アレク：…用事はそれだけか。
エイミィ：うん、用事はそれだけ。アレック、くれぐれも損害を減らすようにね。
アレク：戦争なのだぞ！ここは最前線なのだぞ！
エイミィ：一回、人間の襲撃を受けちゃったけどね。
アレク：…思い出させるな！今思い返しても忌々しい。
エイミィ：完全な奇襲だったもんね。オーガー１５体があっという間に壊滅なんて恥だもんね。
アレク：うるさいっ！
エイミィ：アレック、怒っちゃやだ。
アレク：怒らせるようなことを言うからだ。
エイミィ：アレック、怒ると禿げるよ。
アレク：エイミィ！おまえはなにをしにきたんだ。
エイミィ：長の命令を伝えに来た。損害を、特に魔族の損害を減らすようにって。
アレク：………わかった。これからは戦果より損害を減らすように戦えばいいのだな。
エイミィ：そういうこと。アレック、よくわかったね。えらいえらい。
アレク：だが、守ればすなわち足らず、ということもあるぞ。
エイミィ：細かいことはアレックに任せるよ。前線指揮はアレックのしごとだものね。
アレク：それならいい。損害を減らすという実績をあげればいいのだな。
エイミィ：そういうこと、じゃあね、アレック。
アレク：さっさと帰れ！
アレク： 長はなんて？
エイミィ：アレク、自重しろって。
アレク：自重？何を自重するのかしら。
エイミィ：損害が多いって。
アレク：それ以上の損害を敵に与えている。戦果で正当化できる範囲だ。
エイミィ：長（おさ）、言ってたよ。
アレク：何と言っていたというのだ。
エイミィ：えっとね。非戦闘員を殺しても仕方ないって。
アレク：馬鹿なことを。人などすべて敵。敵は皆殺し。それが戦争だ。
エイミィ：長、ご機嫌斜めだよ。
アレク：どういうことだ？
エイミィ：だからね。アレックの言う戦果って、非戦闘員まで足してるでしょ。
アレク：水増しではない。この戦争は、魔族か、人か、どちらかが絶滅するまで終わらない。
エイミィ：族長会議だって、アレックみたいな極端な意見、少数派だよ。
アレク：だが、私が正しい。
エイミィ：でもでも、長の部下なんだから、長の言うことを聞こうよ。
アレク：そうだな。それで、どうかしたの？
エイミィ：それでさ、アレック、損害には、蜥蜴兵、足してないでしょ。
アレク：なぜ足す必要がある。所詮使い捨ての道具だ。
エイミィ：だから、それが水増しだって。
アレク：…わかった。こんどから、長への報告は、蜥蜴兵もべつに報告しよう。
エイミィ：アレック、本当にわかってる？
アレク：わかったと言ったはずだ。それから、エイミィ。
エイミィ：なに、アレック？
アレク：アレック、という言い方は止めろ。何回言ったらわかるんだ。
エイミィ： アレック、アレックは、アレックじゃない。どうしてアレックって言っちゃいけないの。
アレク：私はアレクサンドラだ。アレックではない。
エイミィ：アレクサンドラだから、縮めたらアレックだよ。
アレク：アレックスか、アレクではいけないのか。
エイミィ：アレックスやアレクじゃ可愛くないよ。
アレク：…好きにしろ。
エイミィ：ありがとアレック。
アレク：だが、聞き捨てならないな。
エイミィ：何が？
アレク：損害が多い、とはどういう意味だ。
エイミィ：損害が多いってことだよアレック。
アレク：戦果は十分に上げているはずだ。
エイミィ：ホートウィッシュ、落ちてないよアレック。
アレク：…確かに、あれは人どもの守りの要。あそこを落とせば、この戦争は勝ったも同然。
エイミィ：どうやってホートウィッシュを落とすの？考えてるアレック。
アレク：遊撃戦で王国軍を消耗させる。いずれホートウィッシュを守る兵もいなくなる。
エイミィ：アレック。本当にそうなるって思ってる？
アレク：蜥蜴兵は城攻めに向かない。それに、あれを本気で落とすなら、全力がいるな。
エイミィ：アレック、よくわかってるね。なでなでしてあげる。
アレク：頭を触るな！
エイミィ：アレック、怒っちゃやだ。
アレク：怒るわっ！
エイミィ：アレック、長、ご機嫌斜めだよ。
アレク：それはもう聞いた。私にどうしろというのだ。
エイミィ：蜥蜴兵も無限じゃないし、魔族はただでさえ数が少ないんだよ。
アレク：蜥蜴兵は使い捨てだ。戦争で魔族が死ぬのも、仕方がない。
エイミィ：長、言ってたよ。この調子だと負けちゃうって。
アレク：負ける？馬鹿な！これほどまでに優勢に戦っていて、なぜ負ける。
エイミィ：エイミィ、わかんない。だけど、長、負けるって。
アレク：…わかったわかった。損害を減らせばいいのだろう。
エイミィ：うん、アレック、わかってくれたんだね。
アレク：…用事はそれだけか。
エイミィ：うん、用事はそれだけ。アレック、くれぐれも損害を減らすようにね。
アレク：戦争なのだぞ！ここは最前線なのだぞ！
エイミィ：一回、人間の襲撃を受けちゃったけどね。
アレク：…思い出させるな！今思い返しても忌々しい。
エイミィ：完全な奇襲だったもんね。オーガー１５体があっという間に壊滅なんて恥だもんね。
アレク：うるさいっ！
エイミィ：アレック、怒っちゃやだ。
アレク：怒らせるようなことを言うからだ。
エイミィ：アレック、怒ると禿げるよ。
アレク：エイミィ！おまえはなにをしにきたんだ。
エイミィ：長の命令を伝えに来た。損害を、特に魔族の損害を減らすようにって。
アレク：………わかった。これからは戦果より損害を減らすように戦えばいいのだな。
エイミィ：そういうこと。アレック、よくわかったね。えらいえらい。
アレク：だが、守ればすなわち足らず、ということもあるぞ。
エイミィ：細かいことはアレックに任せるよ。前線指揮はアレックのしごとだものね。
アレク：それならいい。損害を減らすという実績をあげればいいのだな。
エイミィ：そういうこと、じゃあね、アレック。
アレク：さっさと帰れ！
エイミィは、黙って前線司令部を出た。
外見は、ただの山小屋である。
護衛もそんなに多くない。見つからなければ攻撃を受けないという考えから
護衛もそんなにいない。アレクの身上は、蜥蜴兵を使った遊撃戦術にあるのだ。
最前線で指揮する猛将、それがアレクサンドラである。
外見は、ただの山小屋である。
護衛もそんなに多くない。見つからなければ攻撃を受けないという考えから
護衛もそんなにいない。アレクの身上は、蜥蜴兵を使った遊撃戦術にあるのだ。
最前線で指揮する猛将、それがアレクサンドラである。
エイミィ：アレック、状況がやっぱりわかってない…
エイミィは肩をすくめながら自分の司令部へと下がっていく。
エイミィの方は、後方、魔族軍の基地で生活している。
自前の部隊をある程度所持しているが、現在主力はアレクの部隊なので
増援や補充はあまりないのだ。
特に、魔族兵はほぼ全部、アレクの遊撃隊に配属されている。
エイミィの方は、後方、魔族軍の基地で生活している。
自前の部隊をある程度所持しているが、現在主力はアレクの部隊なので
増援や補充はあまりないのだ。
特に、魔族兵はほぼ全部、アレクの遊撃隊に配属されている。
エイミィ：…来年度の新兵補充、期待できないって、長が言ってたのに。
魔族、それは生まれつきの魔法能力と人間以上の身体能力を持っている種族である。
本来ならば、この世界の支配的種族として君臨していてもおかしくないのだが
仲間割れがひどく、外部世界に目を向けることなく、魔族同士の争いに明け暮れていた。
気がついたときには、人間の種族が、王国連合を作って魔族の領土を蚕食してきていた。
一時は休戦協定を結んだ物の、１５年前に協定は破られ、再び戦争が始まった。
本来ならば、この世界の支配的種族として君臨していてもおかしくないのだが
仲間割れがひどく、外部世界に目を向けることなく、魔族同士の争いに明け暮れていた。
気がついたときには、人間の種族が、王国連合を作って魔族の領土を蚕食してきていた。
一時は休戦協定を結んだ物の、１５年前に協定は破られ、再び戦争が始まった。
だが、それで魔族が統一体になるわけではない。
戦争に乗り気な部族もすくなくないが、乗り気でない部族を無理矢理動員するわけにもいかない。
所詮は売られた喧嘩だから受けて立っているまでである。
人間達のように、全力で立ち向かっているわけでは、ない。
いや、あの消極派の連中、他の部族が力を使い果たしたら、背後から一撃くれてやろうとでも
思っているのではないだろうか？
戦争に乗り気な部族もすくなくないが、乗り気でない部族を無理矢理動員するわけにもいかない。
所詮は売られた喧嘩だから受けて立っているまでである。
人間達のように、全力で立ち向かっているわけでは、ない。
いや、あの消極派の連中、他の部族が力を使い果たしたら、背後から一撃くれてやろうとでも
思っているのではないだろうか？
少なくとも、長は、それを何より心配しているのを、エイミィは知っていた。
エイミィ：アレックみたいに、気楽になれたら、幸せかな。
ホートウィッシュ、あまりに魅力的な目標だ。全力を挙げれば落とせそうな気がする。
だけど、その次の敵は？首都攻防戦？それとも、人間どもに何か切り札が…。
だけど、その次の敵は？首都攻防戦？それとも、人間どもに何か切り札が…。
エイミィ：ダブルクロス、かな。
さらりと物騒なことを言ってのけ、それから基地へと足を早めた。
さて、こちらは、ホートウィッシュにある王国軍の本部である。
ヒルデガード（以下ヒルダ）：ただいま戻りました、将軍
オズワルド（以下将軍）：ご苦労様、ヒルデガードくん
ヒルダ：こちらが、本日前線から上がってきた報告書です。
将軍：ありがとう、そこに置いておいてくれ、後で目を通す。
ヒルダ：かしこまりました。
将軍：それで、ビルギエッタくんは、なんと言っていたかね。
ヒルダ：彼はまだひよっこですし、自分みたいな老人の出る幕でもないと。
将軍：老人か。ビルギエッタくんで老人なら、私はなんと呼べばいいのかな。
ヒルダ：まず、私がおばあさんですね。
将軍：…（こほん）しかし、この作戦には、どうしてもビルギエッタくんの助けがいる。
ヒルダ：ええ、それはわかっています。無益な戦いを続けても仕方がありませんものね。
将軍：１５年前の殺人事件のために、その何百倍もの死体を積み上げる、ばかげてるとはおもわんかね。
ヒルダ：将軍、それが、現実です。ぼやいてもはじまりませんよ。
将軍：陛下は、和平をお望みだ。そのためにこそ、我々が戦っている。
ヒルダ：兵達には不満が溜まっているようです。
将軍：知っているとも。こんな無限に続くかのような消耗戦は耐え難いだろう。
ヒルダ：士気高揚の為の手を打たれた方がよろしいかと。
将軍：首都には、給与の引き上げを依頼してある。
ヒルダ：通るでしょうか。
将軍：期待はしてないね。
ヒルダ：それで、他には。
将軍：ありがとう、そこに置いておいてくれ、後で目を通す。
ヒルダ：かしこまりました。
将軍：それで、ビルギエッタくんは、なんと言っていたかね。
ヒルダ：彼はまだひよっこですし、自分みたいな老人の出る幕でもないと。
将軍：老人か。ビルギエッタくんで老人なら、私はなんと呼べばいいのかな。
ヒルダ：まず、私がおばあさんですね。
将軍：…（こほん）しかし、この作戦には、どうしてもビルギエッタくんの助けがいる。
ヒルダ：ええ、それはわかっています。無益な戦いを続けても仕方がありませんものね。
将軍：１５年前の殺人事件のために、その何百倍もの死体を積み上げる、ばかげてるとはおもわんかね。
ヒルダ：将軍、それが、現実です。ぼやいてもはじまりませんよ。
将軍：陛下は、和平をお望みだ。そのためにこそ、我々が戦っている。
ヒルダ：兵達には不満が溜まっているようです。
将軍：知っているとも。こんな無限に続くかのような消耗戦は耐え難いだろう。
ヒルダ：士気高揚の為の手を打たれた方がよろしいかと。
将軍：首都には、給与の引き上げを依頼してある。
ヒルダ：通るでしょうか。
将軍：期待はしてないね。
ヒルダ：それで、他には。
将軍：慰問団ぐらいは来るだろう。だが、それでごまかされる兵士ばかりではあるまいな。
ヒルダ：思い切ってホートウィッシュまで拠点を後退させ、後の先で敵を消耗させる。
将軍：今の王国には、魔族の本拠地まで攻め込むだけの力はない。敵を消耗させるのが精一杯なのだ。
ヒルダ：こちらが消耗させられているだけだという批判は、首都からも来てますよ。
将軍：魔族１人を倒すために、こちらは４，５人倒れてるからな。仕方ないか。
ヒルダ：補助兵は数多く倒しているのですけれどもね。
将軍：言いたい奴には、言わせておこう。それより、我々の仕事をしよう、情報部は？
ヒルダ：はい。魔族軍には、今のところ特に大きい動きはありません。それが問題です。
将軍：どういうことかね？
ヒルダ：情報部の解析によると、明らかに敵は大規模な補給物資を集積しつつあるとか。
将軍：いつごろ、ホートウィッシュ攻略に必要な水準に達するかね？
ヒルダ：既に、いつでも実行可能かと。
将軍：…まずいな。
ヒルダ：ええ、まずいですね。将軍。
将軍：時間がないな。これからも、ビルギエッタくんの説得を頼むよ。
ヒルダ：はい、将軍。
ヒルダ：思い切ってホートウィッシュまで拠点を後退させ、後の先で敵を消耗させる。
将軍：今の王国には、魔族の本拠地まで攻め込むだけの力はない。敵を消耗させるのが精一杯なのだ。
ヒルダ：こちらが消耗させられているだけだという批判は、首都からも来てますよ。
将軍：魔族１人を倒すために、こちらは４，５人倒れてるからな。仕方ないか。
ヒルダ：補助兵は数多く倒しているのですけれどもね。
将軍：言いたい奴には、言わせておこう。それより、我々の仕事をしよう、情報部は？
ヒルダ：はい。魔族軍には、今のところ特に大きい動きはありません。それが問題です。
将軍：どういうことかね？
ヒルダ：情報部の解析によると、明らかに敵は大規模な補給物資を集積しつつあるとか。
将軍：いつごろ、ホートウィッシュ攻略に必要な水準に達するかね？
ヒルダ：既に、いつでも実行可能かと。
将軍：…まずいな。
ヒルダ：ええ、まずいですね。将軍。
将軍：時間がないな。これからも、ビルギエッタくんの説得を頼むよ。
ヒルダ：はい、将軍。
ヒルデガードは、将軍の部屋を出て行った。
オズワルド将軍は、机の上に置かれた報告書に取りかかる前に
首都へ送るための作戦計画書の仕上げに取りかかる。
オズワルド将軍は、机の上に置かれた報告書に取りかかる前に
首都へ送るための作戦計画書の仕上げに取りかかる。
『天王星作戦』
計画書の表紙には、それだけが書かれていた。