チョコレートの日

　ぼくの名前は、コオル・リアロ。マグストラタム学園の３年生だ。
今ぼくは、卒業のため、必死になって最後の追い込みの勉強をしている。
無事卒業できればそれでよし。さもなければ、ぼくは、今まで特待生として
受け取ってきた学費も生活費も、すべて弁償しなければならなくなる。
そんなお金を工面するなんて、家でも売らなきゃとても無理だ。
そして、ぼくが住んでいるこの家は、ぼくの持ち物じゃない。

　まどか：失踪してもう４年になるんでしょ。実質自分の家みたいなものよ。
　　卯月：まどか、それフォローになってない。
　　マキ：まあまあ～
　　　晶：初めから落第することを考えるな。是が非でも卒業しろ。
　　　結：あ、あの…召喚…出来れば……良いの……でしたら……その……
　　　晶：我々が召喚できても試験には合格しない。
　コオル：それなんだよね。セールスマンさんとの契約じゃ、ぼくの力で契約したことにならないもの。

　まどか：ですけれど、以前大精霊の召喚にも成功してますよね。
　コオル：確かに、ガイアスの召喚は出来たけど、あれは使役じゃないから。
　　卯月：あーもう。男ならうじうじしない。やると決めたら断固としてやる！
　コオル：わかってるよ卯月。
　　マキ：けど～お勉強ばっかりだと～かえって効率が落ちるわよ～
　コオル：だからって、休んでばかりもいられないよ。
　　　晶：その通り。死にものぐるいでやればなんとかなる。私も調理師免許は死にものぐるいでやった。
　コオル：それってどういうこと？
　　　結：あ、あの……お姉ちゃんが……調理師免許……とれないと……
　　　晶：結、それは余計な話。
　　　結：は、はうぅ・・・
　コオル：途中で切られたらかえって気になるよ。本当はどういうことなの？
　　マキ：晶ちゃんのお店は～晶ちゃんしか調理師免許持ってないのよ～
　コオル：それって大変なことなの？
　まどか：調理師免許がないと、料理をお客さんに出せないのよ。
　　卯月：それって、もしかして、晶が落ちたら、喫茶店閉店だったってこと。
　　　晶：全部過ぎたこと。気にするな。
　コオル：そんな事情があったんだ…
　　　晶：私でも出来た。おまえは私の料理の才能と同等の才能がある。がんばれ。
　コオル：ありがとう晶、なんだか元気が出てきたよ。
　　　結：そ、それは良かった…です……
　まどか：………って、ここで話が終わってどうするのよ。
　コオル：どうするって、そういえば、今日はなんでみんな一斉に呼び出すように言ったの？
　　マキ：じゃーん、すごいでしょ～。
　コオル：すごいって…またマキさんお菓子を持ってきたんだ。
　　卯月：今日はチョコレートの日だから、特別にね。
　　　晶：あくまでチョコレートの日だから。勘違いするな。
　コオル：勘違いって？
　　　結：あ、あの……今日は……バレンタインデーといって……その……好きな…男の人に…
　コオル：大丈夫、勘違いは…

　コオル：あれ、来客だ、誰だろう？
　　卯月：てか、なんでボク達の世界のベル音が鳴ってるの？
　コオル：携帯の通販で買ったんだよ。ほら、僕の家って１人で住むには広いから。
　　　晶：てか、早く応対する。
　　マキ：は～い、こちらはコオルちゃんのおうちですよ～
ルテジア：『あ、マキ？コオルいる？いるんならドアを開けてよ』
　　マキ：はい～わかりました～今行くからね～
　コオル：ありがとうマキさん。
　まどか：マキさんの適応の早さって…
　　卯月：…驚異的だよね。
　　　晶：おまえがこういう文明の利器を備えてるのも謎だ。
　　　結：そ、それは…やっぱり……いろいろと……お話の中で………
　　　晶：こいつとそこまで話をしてるのか？
　　　結：え、えと……２人でクエストを受けてるときとか……道中……
　まどか：ていうか、それ普通だよね。黙々と歩いてたら気味悪いもの。
　　　晶：無駄話をする暇があったら周囲に気を配る。その方が合理的だ。
　コオル：晶は無口なんだね。
　まどか：それもちょっと違うんじゃ…
ルテジア：はーい。少年、ちゃんと勉強してる？
　コオル：やってるよ、ほら見てよこのノートの書き込みを。
ルテジア：ノートって……あんた、ほんと携帯依存してるわね。
　まどか：これは私たちの世界で使ってる紙なの。
　　　晶：こちらの世界にも紙があるが、我々の世界の方が安い。
ルテジア：あんた達の世界の事は、昨日のことみたいに思い出すわ。

　コオル：あれ、こんどは誰だろう。
　　卯月：はいこちらリアロ家、鍵は掛かってないから勝手に入って。
アスレイ：『まったく、礼儀のなってない召喚獣ですわね』
　レッジ：『アスレイ先輩もそこまで言わなくてもいいと思うぜ』
　クリス：『やあハニー、君の声を聞けて僕はとってもhappyさ』
　　卯月：げ、最悪な奴まで現れた。
　クリス：『そんなに照れなくてもいいじゃないか、My　sweet』
　まどか：いいからみんな入ってきたら。たぶん、目的は同じでしょ。
　コオル：目的って。
　　　晶：おまえがさぼってないかどうか見に来ただけ。
　　　結：そ、…そういうことだと……クリスさんが……来るはず……ない……
　　マキ：あら～結ちゃんも～言うときには言うわね～
　まどか：あーもう、わたしがみんなを案内してくるわ。

　クリス：Oh！君は僕を見捨てて卒業の勉強をしてるんだね。I'm very sadだよ。
アスレイ：この期に及んで、必死に勉強する方が悪いのですわ。
　コオル：それはアスレイぐらいに優秀な成績を上げてる人の言葉だよ。
アスレイ：そう思うのでしたら、今までだらだらしなければよかったですわね。
ルテジア：とはいっても、この子もほんと、去年から比べれば見違えるようになったわよ。
　まどか：確かに、最初会ったときよりはね。
　　卯月：ほんと、最初はどうしようかって思ったよ。
　クリス：僕も…
　　卯月：あんたは成長しなさすぎ。
　クリス：Oh…殴らなくてもいいのにmy baby…。
　　卯月：…まどか、マキ、晶、結。こいつクインテットで吹っ飛ばしていい？
　コオル：僕の意見も聞いてよ！
　　卯月：ごめん、話が脱線しすぎて君の勉強に差し障ってるね。
　　マキ：では～みなさん～そろそろ本題に～入りましょうか～
　コオル：だから、本題って？
　まどか：やっぱり…
　　卯月：鈍いって…
　　マキ：時々～
　　　晶：犯罪
　　　結：…だと…思います……
　コオル：どういうこと？
　クリス：No No No.baby達が、せっかく君のためにPresentを用意してくれたんだよ。
　コオル：あ、知ってる、義理チョコっていうんでしょ。
　レッジ：…
　コオル：どうしたのレッジ、盛大にため息ついて。
　レッジ：俺は心底先輩がうらやましいよ。
　コオル：そうでもないよ、レッジはもう卒業してるじゃないか。僕はこれからなんだから。
　　マキ：まあまあ～まずは～本命からどうぞ～。
ルテジア：…せっかく、ご指名だし、はい、Happy　Valentine　day。

　まどか：はい、じゃ、次は私の番ね。
　コオル：CD型のチョコレートなんだ。
　まどか：CDじゃなくて、ちゃんとしたレコードなの。
　コオル：レコード？
　まどか：私の歌を吹き込んであるのよ。
　コオル：へーそれはすごいや、どうやったら音が出るの？
　まどか：それはこの蓄音機を使って再生すればいいんだけど…
　　　晶：私がチョコレートを凍らせておかなければ、再生の時に削れてしまう。
　コオル：なんだかよくわからない。
アスレイ：空気の振動を板の上の溝に刻み込んでるだけですわ。どうして見ただけでわからないのかしら。
　コオル：そんなことが見ただけでわかるアスレイが異常だよ…
アスレイ：こ、これが私からあなたへのプレゼントですわ。ご、誤解の無いように…
　レッジ：誤解もなにも、先輩に好意を持ってるからだろ。あーあ、俺も先輩みたいに彼女が欲しいぜ。
　クリス：けど、コオル君だって、僕に比べたら
　　卯月：あんたは異常！…っと、はい、ホットペッパーチョコ。気合いが入るよ。
　コオル：ありがとう…って言っていいのかな？
　　卯月：眠たくなったらこれが一番。
　まどか：のどには悪いけどね。
　　　結：そ、その…コオルさん……これが……あの……その…
　コオル：これが結のチョコレートなんだね。ありがとう。
　　　晶：中身は私が作った。べつに２人で一個でも問題ないはず。
　コオル：晶もありがとう。
　　マキ：そして～おねえさんの～チョコレートづくし～
　コオル：か、鞄の中全部がチョコレートなんだ。
　　マキ：きっと～みんなが集まると～思って～
　　　晶：では、さっそくホットチョコレートを作る。みんな待ってる。

エターナルガールコーリング外伝

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