そういうわけで、組み合わせ抽選の日が来るの。
組み合わせ抽選は、今までのように可能な限り同じジム所属の選手が当たらないように組み合わせてはくれないの。
最悪、２組が同門対決になるの。

「ま、悩んでも仕方ない。
　くじ運はくじ運だ。
　自分で引くわけでもないし、結果待ちだな」
「そうだね、ノーヴェ」

ヴィヴィオさんは相変わらずマイペースなの。
全く緊張してないわけではないと思うけど、緊張を感じさせないの。

「誰と当たっても全力を尽くすだけ」

リオさんはすこし気負ってるみたいなの。

「なんだか緊張するね、ブランゼル」

コロナさんは、明らかに緊張してます。

「ま、なるようになるんじゃない。そういう霧子はどうなの？」
「当たるなら、ヴィヴィオさんと当たりたいの。
　直接対決で雪辱したいの」

泪はリラックスしてるみたいなの。
私はというと、緊張気味なの。
できれば、ヴィヴィオさんと当たって上に行きたいの。
でも、これはくじ運しだいなの。

「組み合わせ発表だぞ。

「第一試合が、高町ヴィヴィオvs雲野霧子。霧子、どうやら願いが叶ったみたいだな」
「霧子ちゃんとかぁ。お手柔らかに」
「お手柔らかにやってちゃ勝てないの。お互い全力を尽くしたいの」
「あはは、じゃ、こっちも全力で」
「第二試合が、ジークリンデ・エレミアvsルーテシア・アルピーノ。お嬢もここでやっかいな相手と当たったな」
「お嬢って、ノーヴェの知り合いなんですか」
「ああ、昔のちょっとした縁でな。
　お嬢ってのはその頃からの口癖だ」
「いいとこのお嬢様なんですか？」
「いや、別にそういうわけでもないんだが、まあそういう話はお嬢本人から聞いてくれ」
「何か訳ありなの？」
「まあ、そういう事だ」
「あ、次の試合発表だよ」
「第三試合が、フォビア・クロゼルクvs柊泪、これも相手は強敵だぞ」
「相手にとって不足無しだよ。同門じゃないからその点は気楽だし」
「第四試合が、リオ・ウェズレーvsコロナ・ティミル、まあ、ここまでの結果で分かってることだよな」
「リオちゃんと当たったんだね」
「そうみたいだね。お互いいい試合をしよう」
「うん」
「よし、組み合わせも決まったし、来週の試合に備えて、相手に合わせた特訓……と言いたい所だが
　泪はともかく、他の４人にはあたしが指導するとわけわかんなくなるよな。
　まあ、そこらはちゃんと考えておく。今日はゆっくり休め」
「はい」

帰り道の話は、当然のように今日の組み合わせについてなの。

「こんどは先を越されたね、霧子」
「うん、こんどは先陣を切るよ」
「先陣切っちゃ負けちゃうよ」
「先陣切ってかつの」
「私も負けるつもりではやらないからね」
「魔法使いって、どんな相手なのかな、精神攻撃が得意みたいだけど」
「精神攻撃かあ、正直受けてみないとわかんないかもね」
「私達って、誰と練習することになるのかな」
「それはわかんないけど、ノーヴェがちゃんと考えてくれるよ」
「そうは思うんだけど」

そんな調子で、寮に帰るの。
早く眠らないと明日に差し障ると思っても、興奮して眠れないの。
それでも、パパの言葉を思い出して目は閉じとくの。
目を閉じてれば、いくら興奮して眠れないと思っても、いずれ必要なだけは眠れるっていうのがパパの教えなの。

そして、翌朝が来るの。

「おはよー、霧子眠れた？」
「あんまり眠れなかったの。パパの言葉は実践したのに」
「そうなんだ、私もあんまり眠れなかった。
　いざ相手が決まると緊張するよね」
「そうだね」

学校が終わるとすぐにジムに向かうの。

「同門対決があるから、あたしが全員の面倒を見るわけにはいかないってのは昨日話したよな」
「はい、ノーヴェ」
「それで、それぞれ練習場所と練習相手を替えることにした。
　ヴィヴィオは今まで通りあたしとここだ」
「ノーヴェ、分かったよ。だけど、他の人は？」
「コロナは直接ヴィヴィオと当たるわけじゃないから、ここで練習する。
　練習相手はミウラが務めるからな」
「よろしくお願いします、コロナさん」
「こちらこそよろしく」
「で、霧子だが、ミカヤの道場でアインハルトと一緒に練習してくれ。
　ミカヤには話をしてあるから、アインハルトと一緒に行けば大丈夫だ」
「分かったの」
「はい」
「で、リオと泪だが、練習場所は聖王教会だ。
　特に泪は精神攻撃に備える必要があるから、聖王教会での練習は為になると思う」
「はい、行ってきます」
「分かったよノーヴェ」
「じゃ、時間は限られてる、早速練習開始だ。
　リオと霧子と泪は早めに行ってくれ。
　待たせるのも悪いからな」

そういうわけで、私はアインハルトさんと一緒に、前練習のために通った、ミカヤさんの道場へ向かうの。

「アインハルトさんは迷惑じゃないの？」
「いえ、私もU-15向けの練習が必要ですから」
「それならいいんだけど、ちょっと心配したの」
「それに、ヴィヴィオさんが目標なのはあなただけではありませんよ」
「アインハルトさんも、ヴィヴィオさんに負ましたよね」
「ヴィヴィオさんは、強いですよ。特に、ここ一番の精神の強さは優れてます。
　さすがは、エースオブエースにしてストライカー、高町なのはの娘だけありますね」
「高町なのはって、そんなすごい人なんですか？」
「すごい人だと、ヴィヴィオさんは言ってました」
「そうなんですか」
「着きましたよ」

ミカヤさんの道場に到着です。

「こんにちは、またお世話になります」
「お世話になります」
「やあ、よく来たね。今度はヴィヴィオちゃんが相手だって聞いたよ。
　大変な相手と当たったね」
「ここまで来たら、大変じゃない相手はいないと思うの」
「うん、まあそうだね。でも、並み居る強豪を退けてのベスト８だ。
　それは誇っていいんじゃないかな」
「ありがとうなの。だけど、それだけじゃ勝てる気がしないの」
「そうだろうね、私が見ても、今の霧子じゃ、いい勝負をするのがやっとだと思う。
　勝つためにはさらに積み増しが必要だろう。
　そのための練習メニューは考えてある。
　さっそく、アインハルトちゃんと一緒に練習しよう」
「はい」

こうして、ミカヤさんの道場での練習が始まるの。
一週間後、どこまで伸びてるか、ノーヴェのところで練習してる
ヴィヴィオさんと勝負なの。

 

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