第3試合は、泪の出番なの。
相手は、フォビア・クロゼルク。正統派魔女っていうけど、この世界だと魔女も珍しくないと思うの。

「正統派っていうか、古典的な魔女だな。
　精神攻撃主体だが、物理も弱くは無い」
「ま、気負いすぎないように頑張ってくるよ」
「いつも通りにね」
「そうだね、霧子。いつも通りに」

相手のフォビアさんはセコンドがいないの。
全部自分でやるつもりらしいの。

「精神攻撃の対策は万全だな。なら、戦闘ならおまえの方が上のはずだ。
　落ち着いてやれば、勝てない相手じゃ無い」
「はい」

こうして、試合開始のゴングが鳴るの。

フォビアさんは、早速何か精神攻撃を仕掛けてるみたいなの。
それに対して、泪は目を閉じてるの。

「ねえ、霧子、泪はなんで目を閉じてるの？」
「ヴィヴィオ、あれは存在波を感じてるの。
　存在波を捕らえることで、幻覚と、現実とをより分けるの」
「存在波を捕らえるって、すごいね。そういうのやってる人見たことない」
「能力者の基本的な力なの」

存在波を捕らえることで、目を閉じてても、能力者は周りの状況が分かるの。
それを利用して、泪は反撃に出るの。

対するフォビアさんは、泪が間合いを詰めてきたのを見て、使い魔を放つの。
これはデバイス扱いだって聞いてるの。
だから、召喚魔法と違って反則じゃないの。

「目を閉じても見えてるってば！」

使い魔を泪は殴り飛ばすの。
でも、その使い魔は一撃では伸されてないの。
使い魔は間合いを開いて魔法爆弾を使って攻撃してくるの。
泪はこれを逆に間合いを開いてかわすの。

泪が目を開けるの。

「どうしたの？　精神攻撃は終わり？」
「効かないことをしても意味がない」
「そりゃそうか。じゃ、効く奴行こうかな」

泪は再び格闘戦を挑みに間合いを詰めるの。
でも、すぐに足が止まるの。

「な、体が……重い……」
「重力を強化した。これで動けない」
「辛いなあ……なんてね。
　動けなければ……」
「動けなければこの子達の的……」

爆弾が泪に降り注ぐの。
それを泪はバリアで必死に防ぐの。

「このまま爆撃してれば終わり……」
「なんてわけにいくか。チャージ完了。
　ジーザス・ライトニング！」

ジーザス・ライトニング、泪の最強必殺技なの。
威力は抜群。あたりさえすれば、私のゴッドスレイヤーの上を行く大技なの。

「え？」

でも、そのジーザスライトニングは、フォビアさんの前でUターンして
泪に向かって行くの。

「うそっ！」

直撃で泪はダウン。勝者はフォビアさんなの。

「一体何があったんだ。あれ、反射じゃないよな」
「空間そのものが曲がったみたい」
「重力を操れるなら、空間をゆがめることができるの。
　それに気づかなかったの」
「つまり、ジーザス・ライトニングはまっすぐ飛んでいったけど
　空間が曲がってしまって、泪にUターンしていったってこと？」
「そうみたいなの、ヴィヴィオ」

とんでもない相手がいたものです。
空間をねじ曲げる力のある相手に、どうやって戦えばいいのでしょう。
私達は負けてるの。でも、まだ、ヴィヴィオと、コロナvsリオ戦の勝者が残ってるの。

 

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