私の名前は雲野霧子、サンクト・ヒルデに留学中なの。

私達にとっては異世界になるミッドチルダでの留学も、もうすぐ終わりになるの。
そんな今日は、サンクト・ヒルデの卒業式なの。

「卒業式といっても、在校生として出席するだけだけどね」
「そうなの」
「卒業する知り合いはいないよね」
「アインハルトさんが中等部の1年生で最年長だからね」
「いっこ下なら初等部の卒業だったね」
「そうなの」

誰も知らない卒業生を見送る卒業式だったの。
だけど、卒業式があるから今日の授業はお休みなの。

「んじゃ、卒業式も終わったしノーヴェのジムに行こうか」
「うん、そうしよう」

そういうわけで、ノーヴェのジムにみんなで向かうの。

「そういえば、霧子達は帰ったらなにをするの？」
「なにって、普通に学校に通うだけなの」
「将来なにになりたいとかない？」
「まだ、そういうのは考えてないかな。日本じゃ進路を決めるのは中学校を卒業する時が最初だし、
　高校を超えて大学に入ってから進路を考える人も少なくないよ」
「そうなんだ、泪。日本ってところはのんびりしてるんだね」
「そういうヴィヴィオは進路はどうするの」
「あはは、やっぱりわかんないかな。だけど、早くなのはママに追いつきたいと思ってるよ」
「そうなんだ。追いつくって言うと、やっぱり管理局入りするの？」
「うん、なのはママはまだ早いからっていうけど、そういうなのはママは私ぐらいの年で
　もう管理局の一員だったんだよ」
「へー、クロノ執務官みたいに早かったんだね」
「私もそう思うの。だから、私も早く入ってもいいと思うんだけど、ママはもっと学校に通いなさいって」
「学校に通うとなにがあるのかな」
「視野が広がるんだって」
「よくわからないけど、ヴィヴィオはそうするつもりなの？」
「うん、魔法の勉強も格闘も覚える積もりだよ」
「未来に向かって頑張ってるって偉いね」
「リオは将来道場の師範になるの？」
「目指してるけど、師範代もまだまだかな」
「コロナは？」
「ん……私はまだ将来のこととかよくわからないよ。
　実家を継ぐとかいうような家業はないし、ヴィヴィオみたいにママを目指すって訳でもないから」
「大丈夫、そっちが多数派だよ」
「だけど、いつかは進路を決めないと」
「ゆっくり決めればいいと思うの。私のパパやママだって、将来を決めたのは大学に入ってからなの」
「そういえば、あんまり霧子達の両親の話って聞かなかったよね」
「こっちにこなかったからね。ま、平凡な家で、あんまり話すこともないし」
「平凡って、本当になにも違いが無かったら、それが非凡だよ」
「んー、パパもママも藍仙高校の先生をしてるの。
　それ以外はこっちとも大して違わない家庭だと思うの。
　確かに、世界を救う活躍をしたって話だけど、詳しい話は知らないの」
「世界を救うって、それすごいことじゃない？」
「K-unitの暴走から世界を救う為に戦ってたとか、その前になにかしてたそうだけど、詳しくは教えてもらってないの。
　だから、どういうことかはわからないの。霰おばちゃんなら詳しく知ってるはずだけど、おばちゃんも教えてくれないの」
「霰おばちゃんって、夏休みに第97管理外世界へ遊びに行ったときにあった人だよね」
「そうなの」
「あの世界って、ああいう危機がなんども起きてるの？」
「異世界から何かが来るのは珍しいの。だけど、パパ達は何度か遭遇してるんだって」
「K-unitって、泪の世界の動力源だよね」
「そうだよ。アインハルト博士が開発した夢の動力源。腕時計から宇宙船まで動かせる、質量を任意のエネルギーに変換する装置だよ」
「魔法でもできない事が出来るんだ」
「そうかも。だけど、逆にK-unitもないのにあれだけの文明が構築出来るのがすごいと私達には思えるよ」
「魔法炉は電気とか普通に作れるからね」
「私達の世界も、K-unitが出来る前は、石油とか原子力とか使ってたの。
　K-unitの無限にも等しいエネルギーが出来る前は、エネルギー問題は大変だったみたいなの」
「それもそうだよね」

話をしてるうちに、ノーヴェのジムにつくの。

「こんにちは」
「よう、来たか。とりあえずアップから始めるぞ」
「はい」

そういうわけで、ノーヴェのジムで体を暖めていくの。

「霧子達は今月でお別れか、悔いの残らないように練習していけよ」
「はい」
「ヴィヴィオ達はU-15のスプリングカップとインターミッドが待ってるな。
　それ対応の練習も入れて行くから気合い入れろよ」
「はい」

そう、私達も後一月なくこの世界を離れるの。
私達は、この留学でなにを学んだことになるのかな。




 

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