ここは、品川第２小学校なの。私達は、時空航行船から降りると、まっすぐ品川第２小学校へ向かったの。

「霧子と泪はまっすぐ家に帰りたいかもしれないが、一週間、トレーニングをするなら、そのための場所を確保する必要がある」
「トレーニングっていっても、魔法はそう使わない基礎的なことだけやって、実力が落ちないようにするだけだけどさ」
「でも、小学校を借りていいのかなあ」
「校長にも話は通してある。問題ない。ただ、そちらからも挨拶はしておく必要があるだろう」
「ま、そうだな。気遣い感謝するよ、クロノ」
「礼には及ばない」

クロノ執務官は、こちらに来る前に、里帰りに一緒に来てくれるノーヴェ達のことを手配してくれていたの。

「品川第２小学校に来るのも久しぶりだね」
「そうなの。なんだか遠い昔のような気がするの」
「まだ一学期だけだよ。離れてたのは」
「ま、そうなんだけどね、ヴィヴィオ」
「なんていうか、管理外世界ってもっと寂れた所だと思ってました」
「文明もミッドチルダと本当に遜色ないぐらいに発展してますね」
「管理外世界というのは、単に時空転移能力がない世界、という意味だ。
　時空世界に影響を及ぼさない世界なら、基本的には管理局が関与せず、観察するにとどめている」
「そうなんですか」

学校の校庭を歩いて行くと、懐かしい顔が見えるの。

「あ、フェイトとユーノだ。おーい」

泪は走ってそっちへ向かって行くの。

「抜け駆けはずるいの」

私も走って泪を追いかけていくの。

「久しぶり、フェイト、ユーノ」
「久しぶりなの。元気だった？」
「うん、私は風邪も引いてないよ」
「僕も元気でやってた。この世界は本当に興味深いね、多様性に溢れている」
「いろんな人が住んでるからね」
「そういえば、インターミッドで決勝トーナメントに進んだと聞いた、すごいね」
「それがどれくらいすごいことかはよくわからないの。でも、次元世界には行けなかったの」
「ベスト８に残るだけですごいよ。そういえば、こっちの世界じゃ、格闘より球技の方が人気なんだね」
「まあ、そうだね。サッカーや野球は格闘より明らかにメジャーかな」
「うん。それも興味深い現象だね」
「再会の挨拶はそれくらいでいいだろう。まずは学校関係者に挨拶に行くぞ」
「はーい」
「私達も？」
「霧子と泪もだ。済まないが、ええと……」
「私はフェイト、フェイト・テスタロッサ」
「僕はユーノ・スクライアです」
「ああ、初めまして。アタシはノーヴェ・ナカジマ。
　DSAAのコーチをやってる。他の面子も紹介した方がいいだろうな」
「はい、お願いします」
「ええと、まず、こっちのちょっと背の高いのが……
「アインハルト・ストラトス。サンクト・ヒルデの中等部２年です」
「で、こっちのちっこいのが……」
「ミウラ・リナルディです。これでも年齢はアインハルトさんと同じなんです」
「で、こっちの八重歯が……」
「八重歯はチャームポイント。リオ・ウェズレーです」
「で、こっちのちょっとおとなしそうなのが……」
「コロナ・ティミルです。それでもインターミッドで準決勝までは進みました」
「最後に、自己紹介が遅れて不満げなのが……」
「ヴィヴィオ、高町ヴィヴィオだよ。でもノーヴェ、そんなに不満げに見えた？」
「ああ、アタシにはそう見えた。クロノ執務官と泪と霧子は紹介しなくてもわかるな」
「はい」
「お互い紹介しあったところで、学校の関係者に挨拶に行こう。一週間お世話になる」
「はい」

そういうわけで、人数が多いんで、職員室で私達は挨拶したの。

「挨拶も終わったところで、どうする、霧子と泪は家に帰るんだろう？」
「うーん、まあ、夕方になってからで大丈夫だと思うの」
「ま、家は逃げないからね」
「ホームシックとか掛からないのかよ」
「んー、手紙のやりとりはしてたから、それほどはね」
「忙しくてホームシックにかかる暇もなかったの」
「そうか、じゃ、時空航行船から降りたことだし、軽く体を動かすとするか。
　着替えは持ってきてるな。じゃ、さっき説明があったとおりに更衣室で着替えてこい。
　１時間ばかり練習するぞ」
「はい」
「私達はどうすればいいんでしょうか」
「しばらく見学してみるといい。それか、一緒にやってもいいだろう」
「僕は遠慮します。見学の方で」
「フェイトはどうする？」
「私は、……うん、霧子や泪と一緒に体を動かす」
「そうか、じゃ、一緒に着替えた方が良い」
「そうします」

そういうわけで、更衣室で着替えて私達は校庭に集合。
いつも通りに練習をこなしていくの。

「私も運動はしてたつもりだけど、霧子や泪にはもうついて行けなくなってるね」
「あは、まあ、私達は学校とジムの往復だったからね」
「むしろフェイトが頑張ってると思うの」
「ありがとう。……私も、リニスがいた頃は特訓してたんだけどな」
「そうなんだ。リニスって？」
「私の教育係」
「そうなんだ」
「フェイト、そろそろ家に帰る時間……て、なんだいこの大人数は」
「アルフ、この人達は霧子と泪の友達とコーチ」
「そうかい。アタシはアルフ、よろしく」
「アルフお姉さんは元気にしてたの？」
「ん、まあ、アタシは元気が取り柄だからね」
「さて、今日の練習はこれくらいでいいだろう。
　着替えて戻ってこい。明日は遊びに行くんだろう？」
「うん、明日はDICEが作ったアミューズメントパークに行くんだよ」
「そうなの。みんなも招待されてるから、一緒に行けるの」
「みんなって、ヴィヴィオ達も？」
「うん、園宗寺さんに言って、ヴィヴィオ達もフェイト達も行けるようになってるの」
「そうか、じゃ、楽しんでくるといい」
「あ、ノーヴェも人数に入ってるから」
「そうなのか？　でも、あんまり大人数じゃ迷惑じゃないか」
「大丈夫だって園宗寺さんは言ってた、内見会みたいなものだから、他にもお客さんはたくさん来てるって」
「そうか、じゃ、遠慮無しに」
「クロノ執務官も大丈夫なの」
「それはリンディ提督から聞いている」
「なんだ、聞いてたの」
「執務官は情報を集めるのが仕事の半分だ」
「じゃ、また明日ね」
「そうだな。あたしらはクロノと一緒に宿に向かうよ。
　明日の集合時間と集合場所は？」
「それはDICEからバスが出るって、各自の家を回ってくれるから問題ないよ」
「そりゃまたサービスがいいな」
「それは管理局でお願いした。みんなに迷子になられても困る」
「私達は別にノーヴェ達の宿に行ってもよかったんだけどな」
「途中事故があっても困る」
「クロノ執務官は心配性だと思うの」
「心配が取り越し苦労になれば、それに越したことはない。
　心配せずに想定外の事が起きる方が問題だ」
「それもそうなの」
「では、僕はノーヴェ達を送っていく、君たちは……ああ、迎えが来た」
「あ、本当だ」

柊家の二人と、雲野家の二人……つまり、私と泪の両親それぞれが到着したの。

「よう、泪、元気そうだな」
「うん、元気してたよ」
「霧子、ライバルが出来たんだったな」
「うん、そうだよ。紹介するね、こっちが私のライバルで目標、高町ヴィヴィオ」
「そういう紹介のされかたをすると気恥ずかしいかな。私が高町ヴィヴィオ。ヴィヴィオって呼んでください」
「わかった、ヴィヴィオさん……」
「ヴィヴィオでいいです。さん付けされるとなんか恥ずかしいです」
「わかった、ヴィヴィオ、霧子が世話になってるみたいで、ありがとう」
「御礼を言われるようなことはしてないと思うよ。ちょっと一緒に勉強とかしてるだけだから」
「それが御礼を言われるようなことだ」
「トーヤくん、それじゃぶっきらぼう過ぎだよ、初対面なのに」
「ああ、そうか」
「もう、トーヤくんってそういう所は変わらないね。
　私が……」
「こっちが、カスミママだよ」
「あ、カスミさん、いつも霧子にお世話になってます、ヴィヴィオです」
「こちらこそ、霧子がお世話になってます」
「泪、ちゃんと強くなったか？　勉強は出来てるか？」
「出来てるよ」
「もう、柊ってば。泪、元気でやってた？　病気とかはしなかった？」
「うん、病気とかは向こうから逃げてったよ」
「それなら良かった」
「じゃ、明日は早いし、そろそろ帰るか」
「そうだな、トーヤ。そういやDICEはちゃんと料理出してくれるのかな」
「そりゃ心配いらんだろ誠志郎。おまえのことはちゃんとわかってるはずだからな」
「あ、パパ達もいくの？」
「ああ、そうだ。園宗寺さんから呼ばれてるし、見せたいものもあるらしいからな」
「見せたいものって？」
「それは見てのお楽しみだそうだ」
「そうなんだ、楽しみなの」
「そうだな」

こうして、私達は別れて家に向かったの。
明日はDICEのアミューズメントパーク行き。

その前に、今日は久しぶりにカスミママの料理が食べられるの。

 

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