「到着〜」
「ついたの」

ここは、DICEが作った新しいアミューズメントパークなの。
見た感じ、浦安にある夢の国よりも広そうなの。

「おはよう」
「おはようございます、園宗寺さん」

カスミママがまず挨拶するの。

「はーい、待ちくたびれちゃったよ〜」
「おまえが早く来すぎたんだろ霰」
「あは、まあ、楽しみじゃない」
「霰、おまえの仕事はわかってるんだろうな？」
「わかってるってばぁ、あのオーパスが謎だから、一応警護のために来てるんでしょ」
「分かってれば良いが……」
「大丈夫、霰おばちゃんはああ見えて、仕事はちゃんとするから」
「でも、とりあえず遊ぼ。どこに行く？」
「その前にミッドチルダから来た人たちの自己紹介とかあるだろう。
　霰は気にしないかもしれないが、他の人がな」
「んー、ま、そっか。じゃ、こっちのロシア人っぽい服装の人が園宗寺さん。DICEの総帥だよ。
　で、こっちの無口なのが忍くん。園宗寺さんのボディガードだからね。
　で、私が霰＝アインハルト、DICEで働いてるよ」
「んじゃ、俺らも紹介するか。
　って、俺らの家族はみんな知ってるよな」
「そうだな」
「では、僕からミッドチルダから来たメンバーを紹介する。
　まず、こちらの赤毛がノーヴェ＝ナカジマ。DSAAのトレーナーで今回メンバーの引率をしている。
　そして、こちらが、アインハルト＝ストラトス。サンクト＝ヒルデというミッドチルダの学校の中等部2年生、そして格闘家だ。
　その隣が、ミウラ＝リナルディ、中学2年生、そして同じく格闘家になる。
　それから、こちらは、園宗寺さんもご存じだと思うけれども、フェイト＝テスタロッサと、ユーノ＝スクライア。ミッドチルダからの留学生だ。
　次に、こちらがコロナ＝ティミル、その隣が、リオ＝ウェズレー、そのまた隣が高町ヴィヴィオ、全員サンクト＝ヒルデのの初等部4年生、そして格闘をやっている。
　全員、インターミッドという、10代最強を競う格闘競技の女子部門でベスト8入りしている実力者だ」
「へー、10代じゃ強いんだ」
「そういう霰さんは、どの程度の実力をお持ちなのでしょうか？」
「ん？　あたし？　まあ、格闘ゲームじゃ無敵を誇る霰ちゃんだからね。
　普通の格闘も、弱い積もりはないよ」
「では、時間がありましたら、お相手していただけませんでしょうか」
「いいけど、今はアミューズメントパークに来てるんだから、まずは出し物を楽しもうよ」
「出し物、ですか」
「今は見学会ということで、アトラクションといっても、本稼働はしてない。
　従業員の訓練をかねて、DICE関係者に見てもらっている最中だ。
　もちろん、君たちもそのために招かせてもらった」
「アミューズメントパークといえば、高くてぼったくりな食堂と相場は決まってるが、ここはどうなのかな？」
「誠志郎、本人を目の前にして言うことか、それ」
「十夜、本人がいないところで言ったら悪口だろ。本人がいるから意見で通るんだぜ」
「そういう問題なのか」
「そういう問題だ。というわけで、まずは食事から始めようぜ」
「パパ、朝ご飯は食べてきたよ」
「それはそれ、これはこれだ」
「柊ぃ、お昼まで待てないの？　それに、多分、アミューズメントパークのレストランはまだ空いてないと思うよ。時間的に」
「瞳、そこをなんとか」
「いい加減若くないんだから自覚してよね。
　あ、園宗寺さん。アトラクションはどんなものがあります？」
「アミューズメントパークに必要なものは一通りそろってる。
　もちろん、ジェットコースターや観覧車といった定番のものも用意した」
「ゲーセンは？」
「アミューズメントパークに必要なのか？　それは」
「アミューズメントではあると思うよ」
「あまり必要そうではないからそれは入ってない」
「なんだ、残念」
「あの、みなさん、退屈されてませんか、そろそろ移動しましょう」
「あ、そうだな、カスミ」
「それで、まずはどこに行くんだ」
「ノーヴェ、とりあえず定番のジェットコースターにしようよ」
「ん、ああ、いいぜ」

そう言う訳で、私達は食事を要求する柊誠志郎さんや、ゲーセンがないことをぼやく霰おばちゃん達とも一緒にジェットコースターへ向かうの。
ジェットコースターは普通にループとかがあるジェットコースターだったの。

「さて、次はどうする？」
「定番の観覧車かな、やっぱり」
「高い所ばっかりだな」
「スリルのあるものの後は、のんびりできるのがいいな」
「カスミはそうみたいだが、みんなはどうだ？」
「パパ、私はそれでいいの」
「ん、観覧車も悪くないな、とりあえず乗ってみるか」
「ああ、展望は素晴らしいはずだ。関東一巨大な観覧車になっている」
「へえ、それはすごい」

そういうわけで、観覧車にも乗るの。
さすがに東京タワーやスカイツリーより高くはないけど、海に面したアミューズメントパークだけあって、見晴らしは良かったの。

「さて、次はどこへ行く？」
「あの、私、体を動かすような場所がいいんですけど……
「さすがにジムみたいなものは併設してないな。
　だが、ここからすこし歩いてみるのは悪くないだろう。
　海中公園に行ってみるといい」
「海中公園？」
「海の情景が見えるように、照明なんかもしてある地下空間だよ。
　あそこには、謎のオーパスもあるから、みんな見てみようよ」
「謎のオーパスですか。オーパスとはなんでしょうか」
「うーん、なんて説明すればいいかな。存在波を記録した結晶なんだけどね」
「存在波とは、なんでしょう」
「一から説明すると長くなるんだけど……」
「歩いて行くなら説明する時間はあるだろう。
　歩いて謎のオーパスの所まで行くなら、30分はかかる」
「すごく巨大なアミューズメントパークですね」
「でっかいことはいい事だ。そうだろ、十夜」
「一日で見て歩けないぐらいの大きさを目標としたのでそうなっている。
　なんどでも楽しめる場所になればいいと思ってな」
「それはそれで疲れるかも……」
「まあ、気にするなよカスミ、それで、オーパスの話だったな。
　こういうとき空木さんかアインハルト先生がいてくれると助かるんだが
　まあ……カスミ、頼む」
「そういうことになると思った。
　まず、存在波というのは……」

カスミママの解説は省略するの。
詳しくはデバイスレイン本編か、P-3シリーズを読んで欲しいの。

「……というわけで、この世界の動力源、K-unitが、今一番一般化されてるオーパスにしてオーギュメントかな」
「質量を直接任意のエネルギーにして取り出せる存在か。なんど聞いても不思議な動力源だ」
「持ち運びできる重力炉というほうが近いかな。とにかく、この世界は今やK-unitなしじゃ夜も明けないよ」

アインハルトさんやフェイトは興味しんしんで聞いてたんだけど、ユーノくんにとってはもう既知の話で退屈みたいな表情をしてるの。
他の人は、難しすぎてついていけないって顔をしてるの。
存在波のことを理解すれば、そう難しい話でもないはずなのに。

「さて、予備知識はそれくらいでいいだろう。
　ここが海中公園、そして、その中央にあるのが、建設中に見つかった謎のオーパスだ」
「えと、園宗寺さん。謎のって、DICEの研究所とか霰おばちゃんにも正体がわからなかったの？」
「そうだな。何かのオーパスだということはわかったが、それが何かまではわかってない。
　存在波の解析では、何かを封じる存在のようだが、何が封じられてるかまではわかってない」
「封印された存在なんて、展示してて大丈夫なの」
「じょぶじょぶ。封印してあるんだから、その封印さえ解けなければなんにもおきないって。
　それに、私が調べた範囲じゃ、封印されてるものも、危険な存在じゃないよ」
「危険じゃないのに、なんで封印されてるのかな」
「あはは、それはわからないよ。封印を解いてみないと。でも、DICE系の技術でできたものでもないし
　封印を解くのも、もっと理解が進んでからでいいんじゃないかな」
「研究はするの？」
「もちろん、研究の安全を確保するために私が来てるんだよ」
「研究は誰が？」
「空木さんの研究チームが、手隙になったら来ることになってるよ。
　それまでは、ここでずっと展示かな。東京湾に沈んでた謎のオーパスってことで」
「それ、いいの？　危なくない？」
「じょぶじょぶ、なんかあったらこの霰ちゃんがなんとかするって」
「だといいけど……」
「あー、私を信じてないな−」
「だって、霰おばちゃんがなんとかすると、なにもかもぶっ壊しそうなんだもの」
「そんなことは……まあ、あるかな」
「ここは、アミューズメントパークなんだからね」
「はいはい」
「無駄話はそれくらいでいいだろう。　次はどこへ行ってみたい？」
「10時になったぜ、お茶にしよう」
「ったく、誠志郎は食べることばかりだな」
「喫茶店は食べるのがメインの場所じゃないだろ」
「まあ、そうだが」

そういうわけで、私達は謎のオーパスを後にして、まず喫茶店で休憩することになったの。
休憩後の話は、また続きなの。

 

---